独立行政法人 水産総合研究センター 水産工学研究所

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浮消波堤
 

設置された浮消波堤

建設中の多機能浮消波堤(生簀機能付加型)


【浮消波堤とは?】
 大きな箱のようなもの(実際にはもっと複雑な形状をしています)をいくつも海に浮かべ、チェーンなどである海域の前面に係留し、沖から来襲する波を押さえてその海域を静穏にするための施設が「浮消波堤」です。幅は数メートルから十数メートル、長さは大きいものでは百メートル近くのものもあります。

【どのような場所に浮消波堤が用いられるのか?】
 浮消波堤の多くは水産物の養殖場を内湾から沖合に展開するときに用いられます。
 生け簀などを用いる養殖は波の静かな場所が必要で、これまでは内湾域で行われてきました。しかし、養殖業が盛んになると生け簀が過密になり、環境が悪化するなどの問題が生じてきたため養殖場の沖合化が望まれました。
 浮消波堤は、水深が大きい場所や海底が泥のような場所でも比較的容易に設置ができます。また、浮いているので外海と背後水域の海水交換をあまり妨げないことから、養殖場の環境が良好に保たれます。

【どのような研究をしているか?】
 幅十数メートルのただの箱を浮かべただけでは外洋の大きな波浪には対処できません。
 外海域で用いられる浮消波堤には、波のエネルギーを吸収し、波を小さくする工夫がなされています。このため、浮消波堤の内部は上の写真で見る以上に複雑な形状をしていますが、この波エネルギー吸収効率を高めうることは、養殖場のさらに沖合への展開を可能にするばかりでなく、浮消波堤の建設費用を安価にする利点もあります。
 また、浮消波堤が環境保全機能に優れた構造物とはいえ、やはりその影響を把握する必要があります。

 


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