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生物環境実験棟

【概 要】

 波、流れ、底質、水温、人工構造物の形状などの物理環境要因は水産生物に直接的に影響するだけでなく、他の生物との種間関係を通じて間接的にも影響し、生物の生息場を形成しています。水産資源の保全や回復のために設置される人工魚礁や増殖場などを適切に設計するためには、これらの定量的な解明が不可欠です。
  この実験棟では、その解明のために様々な物理環境条件を設定できる各種水槽の中で生物の行動や成長等を調べています。  


【主要設備】
波動環境シミュレーション水槽 縦型回流水槽。試験区:長さ3.0m×高さ0.4m×幅0.4m。
コンピュータ制御により定常流だけでなく、任意の時間波形の振動流を発生可能。
最大定常流速:3.5m/秒、最大振動流速:1.4m/秒(周期10秒の場合)。
振動流発生装置 ピストン駆動式U字管型の振動流水槽。
試験区:幅30cm×高さ30cm×長さ2m。
発生可能な振動流:最大流速45cm/秒(周期5秒の場合)。
生物耐流性試験水槽 水平循環型回流水槽。
試験区:長さ6m×幅0.6m×深さ1mの開水路。コンピュータ制御により、周期12秒の定在波を発生させることも可能。最大流速:1.2 m/s(一方向流、水深80mの場合)。
垂下養殖試験装置 取付架台を水槽(幅2m×奥行2m×高さ2m)内で任意の2次元軌道で周期運動させることができる装置。
最大軌道範囲:上下500mm×左右500mm。
平面水槽
(旧砂浜生物生態実験装置)
幅4.3m×9.4m×深さ1m。
水槽上方4mの高さに観測歩廊(幅90cm)を有する。


【実験風景】
 
振動流中でのアイゴの
海藻摂食実験


 この実験は、波動環境シミュレーション水槽を用いて行った実験例です。この実験により、大型海藻を食べるアイゴは振動流速が1.5m/秒近くまでアラメを摂食できることが確認されました。




浅瀬に残る海藻に対するウニの
摂餌行動実験

 この実験は、生物耐流性試験水槽での実験例です。水槽内の試験区に浅瀬を模した台を設置し、波(定在波)を、時化と凪が繰り返すように発生させて、浅瀬の海藻に対するウニの摂餌行動を調べました。その結果、ウニは凪のときに浅瀬に上って海藻を摂食し、時化になると深場へ移動する状況を定量的に解明できました。

イセエビによるウニの
サイズ選択的捕食実験

 この実験は、平面水槽を用いて行った実験例です。16試験区の中に体サイズの異なるイセエビとウニを入れています。水槽上方の観測歩廊から自動フラッシュで撮影された夜の映像が下の写真です。夜行性のイセエビが夜間、隠れ家から出て活発にウニを捕食しています。実験では捕食可能のサイズ関係を調べました。




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