独立行政法人 水産総合研究センター 水産工学研究所
トピックス
 沿岸域の「生息場ネットワーク」に関するシンポジウムを開催

 水産生物は、その生活様式としていろいろな場所を生息場に利用しており、一生を全うし次世代へつなげていくためには、多様な環境の場を必要とします。このような生息場間の「ネットワーク」を維持あるいは強化することにより、水産生物資源の増大を図る施策が提示され、そのための技術開発が求められています。
 そこで、水産工学研究所が主催する水産工学関係研究開発推進特別部会水産基盤分科会として、「沿岸漁場ネットワーク強化に向けての新たな課題 −藻場を基点として−」と題したシンポジウムを、平成19年12月10日に東京・南青山会館において開催しました。 
 シンポジウムでは、藻場を基点とした生息場ネットワークを中心とした研究・事業事例が紹介され、その現状と課題について活発な議論が行われました。
 分科会には、水産庁や都道府県の自治体、関係団体、大学、独法研究所の38機関から62名の出席者がありました。

趣旨説明
中村義治 水産土木工学部長
会場の様子
講 演
「藻場を巡る生息場ネットワークの構築
 −岡山県における事例―」
鳥井正也 岡山県農林水産部水産課
総合討論
「沿岸漁場ネットワーク強化へ向けての課題」
座長 中山哲嚴 水産土木工学部水理研究室長

平成19年度水産工学関係研究開発推進特別部会水産基盤分科会
沿岸漁場ネットワーク強化に向けての新たな課題  −藻場を基点として−

趣 旨:
 沿岸域は,岩礁から砂浜・河口域,静穏な内湾域から波当たりの強い外海域,浅場から深場など,非常に変化に富む領域であり,多種多様な水産生物の生息場となっている。これらの生物は成長段階や摂餌・繁殖行動などに伴いいくつかの生息場を移動したり,その生殖子や生体の一部または全体が流れによって他の場所へ運ばれて新たな生息場を形成したりする。沿岸域に存在する様々なタイプの生息場は,このような生物の移動によって相互に関連づけられた「ネットワーク」として存在し,総体として漁業生産を支えている。このような見方は場のもつ水産的価値の評価や漁場造成の計画では欠かすことができないが,関連する研究は著しく遅れ,水産基盤整備でも取り組むべき新たな課題となっている。
 本分科会では,沿岸漁場を生息場のネットワークとして捉え,整備するために必要となる今後の調査研究と水産基盤整備のあり方を検討するため,シンポジウムを企画した。今回は,特にその重要性が認識されながらも定量的には評価されていない藻場を中心にしてこれまでの知見や事例を整理し,現状と今後の課題を議論する。

 日 時:平成19年12月10日 13:00−17:00
 場 所:農林水産省共済組合 南青山会館
 会議次第:
  開会挨拶    影山智将 水産工学研究所長
  趣旨説明    中村義治 水産土木工学部長
  講 演
   ・ガラモ場の機能評価からみた水産生物の生息場ネットワーク
濱口昌巳 瀬戸内海区水産研究所
   ・藻場を巡る生息場ネットワークの構築 ―岡山県における事例―
鳥井正也 岡山県農林水産部水産課
   ・魚類の移動特性から見た生息場ネットワークの考え方
山本正之 海洋生物環境研究所
   ・藻場から流出した藻体がつくるデトライタス生息場:レビュー
川俣 茂 水産土木工学部水理研究室
   ・水産基盤整備における漁場ネットワーク強化の必要性(アワビを事例に)
佐藤昭人 水産庁漁港漁場整備部
   ・総合討論「沿岸漁場ネットワーク強化へ向けての課題」
座長 中山哲嚴 水産土木工学部水理研究室長
  閉会挨拶    武内智行 業務推進部長 

→トピックス2008-2006へ戻る

→トピックス一覧へ戻る

→トップページへ戻る