小型シャコ選別器の開発試験

[要約]東京湾の小型底びき網漁業では、商品サイズ未満のシャコを海に戻しているが、多くは選別中に夏の直射日光を受けへい死してしまう。そこで、活かして海に戻すためと選別の省力化を目指した、動力を用いない安価で簡便な選別器の開発を行う。
 

神奈川県水産総合研究所 企画経営部     

連絡先

0468-82-2312

推進会議
 

水産工学
 

専 門
 

漁業生産
 

対 象
 

他の甲殻類
 

分 類
 

普及  
 
【背景・ねらい】
 東京湾の小型底びき網漁業では、商品サイズ未満のシャコを混獲する、いわゆる不合理漁獲が行なわれている。シャコは選別後速やかに海へ戻されるが、特に夏期には直射日光で暖められたデッキ上に放置されるため、その多くがへい死してしまう。そこで、シャコをへい死させることなくすみやかに海へ戻せるよう船上で使用する簡便な選別器の開発を行う。         
【成果の内容・特徴】
・ シャコ選別器の試作試験選別器のシャコ通過率は、11.3cmで75%、11.6cmで50%、11.8cmで
 25%と推定でき(図2)、狭い体長幅で選択率が変化する選別能力の高いものであることがわ かった。                  
  通常の操業時の試用試験において、商品サイズが通過した率は1〜7%であった。木片、空き缶 等のごみ及びヒトデは、選別器から拾い出す必要があった。クラゲが大量に入ると選別できな かった。                    
・ 生残率調査表1に示したとおり、2〜3時間経過後の魚槽内での生残率は、対照区では7月29日に 44%、8月5日に29%、12日に54%であったのに対し、試験区では8月12日に80%であった。3日 後の生残率は、対照区では7月29日に33%、8月5日に21%、12日に38%であったのに対し、試験 区では64%であった。   
 
【成果の活用面・留意点】
 選別器の使用は、従来の操業方法と比べ投棄後の生残率を高める効果があるといえる。東京湾で投棄シャコのへい死率が高くなるのは夏期の3ヶ月間であり、この時期に選別器を用いることは、その後の漁獲資源に加入する量を増加させる効果があると考えられる。 
 漁業者が期待していることのひとつに選別作業の省力化があるが、選別器の選別能力はシャコの活性等により左右され、冬季には選別時間の短縮効果が著しく低下する。この点で漁業者の納得する処理能力を満たしているとはいえず、今後の改良を要する。
 シャコ選別器は試験用であり、材質、構造の面で実用上の強度が十分ではない。実用装置とするには、加工メーカーの参入が必要(堅牢化、軽量化)。
 
 
【具体的データ】

 

         図1  選別器の模型図及び使用図解例



        

 図2  バー間隔14mmの通過曲線



 

        表1 シャコ生存率の経時変化 1998年
 
  
 
【その他】
 研究課題名:漁具漁法試験
 予算区分:県単独予算
 研究期間:平成9〜10年度
 研究担当者:石井 洋
 発表論文等:シャコ選別器の開発、神奈川県水産総合研究所研究報告、第3号、1998
        シャコ選別器の開発−U 投棄シャコの生残率推定、神奈川県水産総合研究所
       研究報告、第4号、1999