「漁港・漁場の施設の設計参考図書」による耐震性能の照査に使用できるプログラムおよび地震動波形データ


水産庁は、従来の「漁港・漁場の施設の設計の手引」に代わる「漁港・漁場の施設の設計参考図書」を作成したことを平成277月に発表しました(水産庁ホームページ http://www.jfa.maff.go.jp/j/gyoko_gyozyo/g_thema/sub52.html参照)。

同図書では、漁港・漁場の施設の設計手法の性能規定化が図られ、「漁港・漁場の施設の設計の手引(2003年版)」以後の新たな技術的知見が反映されています。

同図書について、水産工学研究所では耐震性能・耐津波性能等の照査方法の改訂作業を担当しました。このたび、同図書による設計実務の円滑化を目的として、耐震性能照査の指標値である「設計水平震度」の新しい算出方法(周波数特性及び変形量を考慮に入れた“照査用震度”の算出方法)を実行する計算プログラムを作成し、本ページに掲載しましたので、下記をお読みいただきご活用ください。

なお本ページの後半には、耐震強化岸壁等の照査に用いるレベル2地震動のモデル波形データも掲載しましたので、こちらもご活用ください。

●照査用震度を算出するファイル(設計参考図書の「第62.2.3 周波数特性及び変形量を考慮に入れた設計水平震度」参照)

ここには、設計参考図書の「第62.2.3 周波数特性及び変形量を考慮に入れた設計水平震度」に記載された、変形量と周波数特性を考慮した設計水平震度(照査用震度)を算出するためのファイルを掲載しています。ここに掲載したファイルは、「第62.2.3」に記された、水深の浅い重力式係船岸用の数式やグラフに対応したものであることにご注意ください。

@ b値を算出するファイル

ファイル名は「b_keisan_sheet.xlsx」です。

設計参考図書の「式6.2.1」の3番目の数式によってパラメータbを算出するためのファイルです。

水色に塗ったセルにパラメータ(H,Tb,Tu)を入力すると、パラメータbが計算されます。

↓こちらからダウンロードしてください。

b値を算出するファイル(Excel形式)

A 照査用震度を算出するファイル

ファイル名は「R_shousayou_shindo.txt」です。

設計参考図書の「第62.2.3 周波数特性及び変形量を考慮に入れた設計水平震度 (1) 水深-2.0m-5.5mの重力式係船岸に対する照査用震度の算出方法」に基づいて、照査用震度を算出するファイルです。このファイルの中身を、統計解析ソフト「R」のウインドウに貼りつけて計算させます。

使用の参考として、以下に「Rの概要」および「ファイル『R_shousayou_shinodo.txt』の実行方法」を記しましたので、あわせてご覧ください。

↓こちらから保存してください。


照査用震度を算出するファイル(テキスト形式)

(ご注意)
上記のテキスト形式ファイルは、途中にたくさんの改行が含まれているのが正しい姿です。
使用されているブラウザの種類と操作方法によっては、改行が全く無いひとつながりの文字列と
して保存されることがありますが、これは正しい姿ではありません。
正しい姿で保存するため、次の方法A〜Cをお試しください。
(「 」書きのコマンド名は、使用されているブラウザによって若干異なります)

(方法A) 上記の黄色の行を右クリックし、「対象をファイルに保存」を選択。

(方法B) 上記の黄色の行を左クリックし、内容をブラウザ上に表示させてから、
メニューより「名前を付けてページを保存」を選択して、ファイルとして保存。

(方法C) 上記の黄色の行を左クリックし、内容をブラウザ上に表示させてから、
表示されている内容を全てコピーし、テキストエディタ(メモ帳、ワードパッドなど)
]にそれを貼りつけ、適当な名前で保存。

Rの概要

Rは、統計言語『S 言語』をオープンソースとして実装し直した統計解析ソフトで、さまざまなプラットフォーム(OS)に対応しています。

Rでは、計算対象のデータを、数値を一列に並べた「ベクトル」、数値を縦横に並べた「行列」、数値や文字列を縦横に並べて変数名を付けた「データフレーム」等のかたちに収めたうえで、多数用意されている「関数」の中から目的にかなうものを使用して演算を行います。

Rには、世界中の専門家によって,日々新しい手法・アルゴリズムが付け加えられており、基本的な数値演算から難度の高い統計解析まで様々な演算が可能です。

Rのダウンロードおよび利用は、無料です.

Rには、Windows版、Mac版、Linux版、Unix版が有ります。以下の解説はWindows版の使用を前提としています。

Rのダウンロードとインストール方法は、下記のウエブサイトをご覧ください。

http://cse.niaes.affrc.go.jp/miwa/ja/R/setupReasy/

(国立研究開発法人 農業環境技術研究所のホームページ内)

正常にインストールされると、パソコンにプログラム(アプリ)として登録されますので、既存のプログラム(Microsoft WORD や一太郎など)と同じ方法で起動できます。

Rのデータ形式、演算コマンド等の詳細については下記のウエブサイトをご覧ください。

http://cse.naro.affrc.go.jp/takezawa/r-tips/r.html

(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)のホームページ内)

Rのウインドウは次のような姿をしています。この中の「R Console」ウインドウに表示されている「>」(プロンプト)の右側に、関数とデータとを入力し、リターンキーを押すと、計算が実行されます。

以下に、「>」の右側の入力例(簡単な例)を2つ示します。前者は、8の平方根を計算して出力します。後者は、書かれた通りの四則演算を実行して結果を出力します。

 sqrt(8)

 6+(18-3)/5

Rのウインドウ表示

●ファイル「R_shousayou_shindo.txt」の実行方法

ファイル「R_shousayou_shindo.txt」には、複数のデータと関数を含む、一連の計算を収めてあります。これを一括して「R Console」ウインドウに張り付けることにより、計算が実行されます。

ファイル「R_shousayou_shindo.txt」は、WINDOWSのメモ帳等で開くことができます。ファイルを開いて、まず、冒頭部分の解説をご覧ください。この解説に記した手順に沿い、パラメータの書き換え、入出力ファイル名およびフォルダ名の書き換え、加速度時刻歴データファイルの用意を行って下さい。それが済みましたら、プログラムの最初から最後まですべて(つまりファイルの内容すべて)を、「R Console」ウインドウに張り付けて、計算を実行してください。

計算結果は、指定した名称のcsv形式のファイルとして、指定したフォルダに出力されます。これをMicrosoft Excel等で開いて利用します。

ファイル「R_shousayou_shindo.txt」で使用している個々の関数についての詳細をお知りになりたい場合は、上述した農研機構のウエブサイトが参考になります。

Rを使用する際の基本事項

Rを使用する際の基本事項として、つぎのことをご承知おきください。

・冒頭に#印が付いた行はコメント行です(その行は演算に使用されない)。コメント行には計算に関する注意事項などを書いています。

・行の途中に#印が書かれている場合、#印より右側がコメント扱いになります。

・「R Console」ウインドウ内の表示を消去するには、CTRLキー とL を同時に押します。(この操作では、記憶されているデータの情報は消えません)

Rに記憶されているすべてのデータを消去するには、 rm(list=ls(all=TRUE)) と入力します。(ファイル「R_shousayou_shindo.txt」では冒頭付近でこれを使用しています)

Rを終了する方法は複数あります。たとえば、メニューバーから[ファイル]→[終了]をクリックすると、終了できます。

●レベル2地震動のモデル波形(設計参考図書の「第211.3.3 サイト特性を考慮しない地震動の設定方法」「第211.3.4 どこにでも起こりうる直下地震の地震動の算出方法」および「資料6.1 地震動及び設計水平震度の算定方法」参照)

ファイル名は「Jishindou_level2_model.xlsx」です。

このファイルには、レベル2地震動のモデル波形を収めています。SMAC相当波形(5波形)と、SMACではない波形(5波形)を、それぞれ別のシートに収めています。

↓こちらからダウンロードしてください。

レベル2地震動のモデル波形(Excel形式)