独立行政法人 水産総合研究センター 水産工学研究所

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環境モニタリング
 
鹿島灘における海洋環境モニタリング

  • 沿岸域の生態系は一次生産者(植物プランクトン)とそれを餌にしている、一次消費者(動物プランクトン、貝類)、二次消費者(小魚、稚魚)、三次消費者(大型魚類)からなる食物連鎖とバクテリアなどの分解者から構成されています。
  • 沿岸の生物生産の源に当たる植物プランクトンの生産(一次生産または基礎生産)には、光エネルギー、海水中の二酸化炭素、栄養塩類が必要です。
  • 鹿島灘のような開放型の砂浜海岸は「海の砂漠」と呼ばれ、その一次生産力は低いと思われていましたが、実際に調査すると、植物プランクトン量や基礎生産量は決して低くないことがわかりました。
海洋の食物連鎖
 
  • 鹿島灘海岸の高い基礎生産を支える栄養塩類の補給ルートは河川水由来、地下水由来,沖合水と多彩です。
  • 環境分析研究室では鹿島灘の生物生産の基礎になる一次生産量の測定や、それに関連する海洋環境動態の調査、ならびに低次生産から高次消費者の資源動向を予測するための生態系の数値モデル研究などを行っています。


調査海域

 ごく浅い海域の調査は、波崎町須田海岸にある、運輸省の観測桟橋で行っています。
 観測桟橋の沖合では、水深10mから水深200mまでの調査点で、また利根川河口を含む広い範囲で、水工研の調査船「たか丸」による調査を行っています。 
 
(独立行政法人 港湾空港技術研究所 波崎海洋研究施設)



調査海域: 茨城県鹿島灘沿岸の,那珂川河口から利根川河口までの約80kmのあいだで調査を行っています。


 
 左の図は,St.10(水深40m地点)における水温・塩分の鉛直分布です。
 春になって気温が上昇し、日射も強くなると、海面近くが暖められ、表層の水温が上昇します。そして夏には上の図のようになります。また、表層は河川水や雨水により塩分が低下します。
このように水温や塩分が急激に変わる層を躍層といいます。
秋になり日射や気温が低下すると躍層はなくなり、下の図のように、水深による差がみられなくなります。


海中光

 
上の図は,St.10(水深40m地点)における海中の光の量を,海表面を100%としたときの割合で示した図です。
  • 海中に透過する光の量は、海水中に含まれる粒子の量によって変わります。
  • 植物プランクトンが多い5月には、水深20m付近で、光量が海面の1%にまで減衰するのに対し、粒子が少ない夏〜秋には、海底付近にまで光が到達しています。このような時期は海が青くみえます。


 海岸波打ち際の海水の水温・塩分・植物プランクトン量の変動
(港湾空港技術研究所観測桟橋での長期モニタリング結果)
 
鹿島灘南部では,水温は2月ごろ最も低く、9℃前後に、また9月ごろに最も高く、25〜26℃になります。
塩分は通常は32〜34程度ですが、梅雨や台風シーズンにやや低く、また雨が多かった1993年には全体的に低くなりました。河川が大増水した後には,急激に塩分が低下し、一時的に20(psu)台の値を示します。このように、浅い海では河川水などの陸水の影響を大きく受けています。
植物プランクトン量を光合成色素量(クロロフィルa量)で表しています。
毎年4〜5月ごろに水温や日射量が大きくなると植物プランクトンがふえます。これをブルーミングといいます。



 植物プランクトンの基礎生産

 
  • 植物プランクトンによる有機物の生産を基礎生産(一次生産)といいます。基礎生産量は、春先に大きく、夏場には,窒素などの栄養塩がないと小さく,雨が多く栄養塩が供給されると大きくなる傾向がみられます。
  • 非常に浅いところでも,生産性が高いことがわかりました。
  • 鹿島灘の沿岸域における基礎生産量は,瀬戸内海などの内海域に匹敵すると考えられます。


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