平成11年度水産工学研究所運営会議概要報告

主催責任者 水産工学研究所長
 
1.開催日時:平成11年7月23日 13時30分〜17時
場    所:水産庁船員詰所会議室(東京都中央区勝どき)
2.出席者・人数:運営委員6名、所内出席者9名
3.結果の概要

議題 結果の概要
1.開会

2.挨拶

3.議事
(1)水産工学研究所の組織と業務概要

(2)予算と資産の運営・管理



(3)研究業務の現状
























(4)総合討論





































































4.閉会
 企画連絡科長が開会を宣言した。

 所長より挨拶があり、運営会議開催の背景と目的について説明した。


 企画連絡室長より水産工学研究所の存立の法的根拠について説明した。また、昨年10月に行った組織改正を中心に、新しい組織の概要を説明した。

 庶務課長より、所の運営に関する標準的な経費の平成10年度決算と11年度予算について説明した。所の主な施設の概要を示し、その維持管理の現状を説明した。また、所の運営に必要な事項別に所内に設けている委員会について報告した。

@研究業務推進の基本的仕組みについて
 企画連絡室長より研究基本計画とその見直し、研究の進行・管理と評価の仕組みを説明した。また、平成10年10月1日の組織改正に基づく現在の組織・体制を示した。

A研究実施状況と成果について
 3研究部長より、当該部の組織と各研究室の業務の概要、並びに平成10〜11年度の研究課題の概要を説明した。また、最近の研究の中から選定した7点につき、研究成果の概要を説明した。

B研究ニーズの把握と連携について
 3研究部長より、研究ニーズの把握方法、他機関との共同研究や共同調査の実施状況、プロジェクト研究への参画、海外研究者の受入や共同調査の実施状況等について説明した。

C研究評価及び成果の利活用について
 企画連絡室長より水産工学研究所で行っている研究の評価方法と、評価結果の公表及び活用について報告した。農林水産技術会議が実施する研究レビューについてその実施方法、前回(平成6年度)の指摘事項に対する対応、水産工学研究所が課題毎に内部で実施している研究評価と研究の進行管理について仕組みを説明した。さらに、研究成果の社会への公表手段と実績を示した。

Dその他受託研究、調査等の業務
 企画連絡室長より受託研究と調査の実績について報告した。

 運営委員からの主な指摘、評価事項を以下に示す。

@組織・体制について
 水産資源の減少と漁業経営の悪化で状況は厳しくなり、関連産業にも大きな影響が出ている。この状況に歯止めをかけ、将来にわたって国民の食料を確保していくためには、工学研究・技術開発を急がねばならない。いろいろな課題に対して水産工学研究所の協力を求めたいが、研究者に過大な負担をかけることにならないようにしなければならない。水産工学研究所の研究者数が40名余りと少ないことが一番の大きな問題である。
 研究者不足を補う方法の一つに連携大学院がある。ただ、研究者が大学院生を担当するには一定の条件がある。
 水産工学研究所は多くの研究施設を有しており、連携大学院が難しければ卒業研究のための学生の受け入れ等から始めて、連携大学院に発展させていく方法をとるのはどうか。

A研究課題の選定について
 研究者は研究目的と予想される成果の貢献度を、数量的に確認しながら研究を進めてほしい。
 日本は先端技術は進んでいるが、それを水産業に応用する段階での、総合システム化技術の後れが水産業の衰退を招く一因と思われる。この部分を強化してほしい。
 漁業と漁港の境界領域に解決すべき数多くの問題がある。
 就業者の減少に対応する機械化の問題、衛生管理の問題、資源の有効利用を含めた水産加工技術による付加価値の向上も重要である。
 工学的な研究テーマに、人間側から見た社会科学的な見方を取り入れる必要がある。
 漁港も生産流通システムの一環としてとらえ、HACCPについて問題点や対策を考えておく必要がある。

B研究の重点化について
 研究者に過度の負担をかけないためにも、課題の重点化が不可欠である。

C具体的な研究課題について
 磯やけ対策として人工造成漁場における藻場造成技術の開発、ハマグリの追跡調査における物理環境調査、PCR(Polymerase Chain Reaction)を用いた二枚貝発生のメカニズムの研究や無人潜水艦のようなものを利用した海中の塩分・水温の測定に24時間観測可能なシステムの開発を水工研にお願いしたい。
 養殖の生産技術開発と同時に汚染対策技術開発や、養殖新法(持続的養殖生産確保法)に基づく行政的な規制、法律の実効性を担保する、例えば海中ロボットによる密殖調査のようなものはできないか。

D他機関との連携協力について
 産学官共同研究体制の強化が必要であり、人のつながりを広げるためにも水産工学研究推進全国会議を有効に活用することを推奨する。
 他分野にわたる研究やシステム化研究を遂行するには、他の水産研究所等を含めた研究分担の計画化が必要である。
 大学と国研とが共同研究を行おうとすると、多くの書類が求められる等、手続き面の問題がある。
 水産分野だけでは全てを解決するのが難しいと思われる事項は、農業や気象等の関係者も含めて研究展開を図ってほしい。
 人工的な磯根漁場造成技術の開発について、水工研には海藻が付着しやすい構造物の開発をお願いし、水試はその追跡調査にあたる方法で、水工研と水試が連携したい。
 各県それぞれが漁業調査船を保有しており、代船建造や維持経費等の面から非効率的となっている。船を集中管理して、回遊魚に関しては全国ベースで調査を行う必要がある。
 工学的な研究テーマに、人間側から見た社会科学的な見方を取り入れる必要があり、そのためには社会科学系の研究を行っている研究所や大学等との連携も必要である。
 水工研は、地元の漁業協同組合と連携して研究を進めていただいている。今後も、地元に役立つ研究をお願いしたい。

E研究成果の普及について
 研究成果の普及活動の強化をはかるべきである。そのためにはビデオ等の視聴覚の有効利用をはかるとともに、現地に出かけていって関係者との直接対話が重要と思われる。銚子・波崎の立地を有効に活用してほしい
 研究報告を直接漁業者や造船所等民間には送付できない等、非公共の分野では研究成果の普及に障害となっている。漁業は非公共分野であるが、その現状を見れば国としてもう少し手厚い対応を考える必要がある。

 所長より、閉会の挨拶があった。