平成17年度水産工学関係試験研究推進特別部会水産基盤分科会報告書
                                     会議責任者:水産工学研究所長
 
1.開催日時・場所:平成17年9月2日(金) 南青山会館会議室
2.参加者所属機関及び人数:46機関・64名
3.結果の概要
議題 結果の概要
二枚貝稚貝期における流動による輸送と生残について


































 
1.研究経過、研究成果に関すること。
 平成16年度水産工学関係試験研究推進特別部会において、二枚貝初期稚貝の生残機構の解明が重要であると認識された。また、この研究については、生物研究者による二枚貝の生理・生態について、工学研究者による極浅海域の流動とそれに伴う漂砂についての両面から議論する必要性のあることも示された。これを受けて、本年度、推進特別部会の水産基盤分科会を開催した。
 本会議では、まず、現場調査を多くで経験する研究者に、これまでの定性的な知見や問題点について示していただいた。
 ・底質が安定な場所は、浮遊幼生の着底が良いが、底質粒径が大きすぎるとその後の生残が悪い。着底に良好な条件とその後の生残に良好な条件は異なるかもわからない。
 ・アサリは、春産卵の加入が悪く、秋産卵の加入が良い、これは、波浪による底質の安定性が影響している可能性がある。
 ・風が強くなるに従って、波浪が大きくなり、漂砂トラップに多くのアサリ稚貝が採取される事例が報告された。
 ・二枚貝の潜砂速度と海底面の浸食速度の関係から二枚貝の移動限界が評価できる。
 ・底質は、シールズ数から比較的安定であるが、数多くのアサリ稚貝が流動に より移動させられる。
 次に、海岸工学の漂砂分野の研究者に話題提供をお願いし、次のような事項が報告された。
 ・二枚貝稚貝の比重など物理特性、潜砂や付着などの生物特性を明らかにする必要がある。
 ・二枚貝稚貝の場合、波浪などの短周期の振動流により巻上げられ、その後、一様流により浮遊状態で移動させられる可能性が高い。
 ・二枚貝初期稚貝の殻長が0.1mmで比重が1.1程度と想定すると、シルトの挙 動と似たものになる。

2.研究の推進方向に関すること及び産・官・学の連携について
 総合討論において、今後、二枚貝初期生残の研究を行う際に、問題となる下記の課題について議論した。
 ・稚貝に関しては、簡便なサンプリング手法、種の同定法、活性度など。
 ・流動条件に関しては、移流と変動成分を同時に取ること、澪筋による流動環境の相違、底質の凸凹や砂連による影響。
 ・底質条件に関しては、地形測量、漂砂測定、数値予測手法。

 生物と工学の研究者が共同して、この問題に挑戦する必要性を認識して、会議を終了した。
その後の処理等

 
 当日の配付資料、総合討論等の結果を整理し、報告書として発行済み(平成17年10月)、関係者に発送中。