平成15年度水産工学関係試験研究推進会議水産基盤部会報告
 
会議責任者 水産工学研究所長 
 
1.開催日時及び場所
開催日時:平成16年1月9日(金) 13:00〜17:00
場  所:水産工学研究所 研究管理棟会議室
 
2.参加者所属機関及び人数
82機関 160名
 
3.結果の概要
議     題 結   果   の   概   要
藻場分布把握のための調査技術の現状と課題






























 
1.研究経過,研究成果に関すること
 沿岸の環境,水産資源の維持保全のためには藻場が重要な役割を持っている。その基礎的な情報として,藻場分布を正確に把握することが藻場を保全する上で極めて重要である。藻場の調査は従来潜水による調査を中心としていた。しかし,こうした調査方法では,スポット,線的に詳細な情報を得ることができるが,広域的な分布情報を得ることは困難である。このようなことから,最近,音響機器,航空機,衛星による藻場分布調査が盛んに行われ始めている。部会では,潜水観察,水中ビデオ,音響機器,航空写真・衛星画像等による藻場調査手法に関する現状と課題,新たな手法開発に関する情報の話題提供がなされ,新たな調査研究課題,研究連携の方向性について総合討論で議論した。

2.当該分野の研究の推進方向に関すること
 上記話題及び総合討論の結果,以下の意見を集約した。
1)潜水による調査に関しては,ダイバーの正確な位置を把握する安価な手法の開発が必要である。
2)ビデオ,デジタルカメラなどの画像の合成により,広い範囲での藻場繁茂状況を把握できる。本手法の汎用化が必要である。
3)音響測器による海藻分布調査は,広範囲にできる利点がある。主として大型多年生海藻に関する音響計測手法を確立する必要がある。特にナローマルチビーム,スキャニングソナーは有力なツールである。多くの研究機関が所有しており,これらの有効利用が課題である。
4)航空機,衛星画像による藻場推定技術は,大スケールの藻場推定に有効である。従来の経験的手法ではなく,藻場の光特性を考慮した光学モデルの開発が進められている。早急に汎用化を進める必要がある。
5)潜水観察,水中ビデオ,音響機器,航空写真・衛星画像等による手法を組み合わせて藻場調査を実施することが有効である。これらの手法の標準化が課題である。
6)藻場調査手法で得られたデータの蓄積は,全国的な藻場の変動を検討する上で,極めて重要であり,データベース構築が望まれる。
その後の処理
 
今回の部会における検討結果を報告書としてとりまとめ,平成15年度に発行する予定である。