平成15年度水産工学関係試験研究推進会議水産調査計測部会報告
 
会議責任者 水産工学研究所長 
 
1.開催日時及び場所
開催日時:平成16年1月14日
場  所:水産工学研究所 研究管理棟会議室
 
2.参加者所属機関及び人数
47機関 92名
 
3.結果の概要
議     題 結   果   の   概   要
資源調査における音響・光学情報技術の最近の進歩

















































 
1.研究経過,研究成果に関すること。
 公的な試験研究機関に対する機関評価が定着していくなか,試験研究の成果として,職務発明,すなわち特許に代表される工業所有権の取得が重視されるようになってきた。また,産学官の連携や外部資金の活用が進むなかで,研究成果を特許化し,それを民間に技術移転して実用化をはかることで,研究成果を広く社会へ還元するという方法が一般的になるとともに,それを支える社会的な仕組みも整備されつつある。水産庁の行っている補助事業等でも,目に見える形での成果として特許の取得が推奨されており,独法化を控えた大学は当然のこと,都道府県の水産試験場等でも今後この傾向は強まっていくものと思われる。
 試験研究を推進していく上では,職務発明の奨励と並んで,調査機器類の使用における技術的問題の解決や工夫も重要である。これは,昨年度の本部会でも議論となり,要望として示されたところでもある。
 本部会では,このような背景をもとに,職務発明への理解を深め,また今後の活発な発明を促すことを主な目的として,特許事務所の弁理士に特許になる発明についてとして講演をお願いするとともに,4件の水産調査計測に関連する特許申請の実例を紹介した。あわせて,野外における魚介類の行動計測と魚探に関する4件の事例をもとに,技術的な問題の検討も行った。これを素材として,特許実務家,研究者,調査担当者,さらにこれらを支える行政の間で意見を交換し,議論を深めためた。

2.当該専門分野の研究の推進方向に関すること。
 上記の話題提供及び総合討論の結果,以下の意見を集約した。
1)試験研究の過程で開発した機器や手法は,可能な限り特許化するすることが重要である。
2)特許の申請は,成果の公表前に速やかに行うことが重要である。
3)魚介類の行動生態調査の進展には,データロガーや音響タグの利用が有効。
4)河川・湖沼・沿岸の調査には,簡便で低廉な魚探機の利用が有効。

 これらのうち,1)と2)は,研究開発の成果を制度的枠組みに則り正当に位置づけることが,産・学・官の連携の推進にもつながるとの共通認識に達した点で,意義がある。また,職務発明への積極的な対応の必要性について,出席者の理解が深まった。3)は,魚介類の行動生態調査における,電子技術応用の可能性への期待である。4)は,昨年度の本部会で内水面水試が提起した問題へのフォローアップであると同時に,水試と共同調査を実施する機会の多い,大学からの新たなニーズでもある。3)と4)ついては,今後の継続的な取り組みが重要である。

3.産・官・学の連携に必要な事項について
 水産工学および関連する資源・生態調査の部門において連携を活発にするには,連携によって得られる成果を,特許等の取得により保全することが,今後ますます重要となってくる。
 当所は,水産試験研究の技術開発分野における中核機関として,職務発明の事例紹介や特許申請に関する知識の普及を,本部会,推進会議,あるいは種々の研究集会等を通じて行っていく必要がある。これと並んで,産・学・官の連携が必要な課題の在処を,調査現場での問題点や要求の中から探っていくことも欠かせない。
その後の処理
 
今回の部会における検討結果を報告書としてとりまとめ,平成15年度に発行する予定である。