平成14年度水産工学関係試験研究推進会議
調査計測部会報告
 
 
主催責任者 水産工学研究所長
 
1.開催日時及び場所
開催日時:平成15年1月14日(火)
場所:水産工学研究所 研究管理棟 会議室
 
2.出席者所属機関及び人数
41機関 78名
 
3.結果の概要
 
議  題 結  果  の  概  要

資源調査における音響・光学情報技術の最近の進歩













































 

1.研究経過、研究成果に関すること。
 TAC制度の定着にともない、より速やかでかつ的確な資源評価が求められている。漁獲統計からの情報によらない直接的な資源量推定の手法として、音響・光学技術を利用した資源調査用機器に期待が集まっている。

 音響・光学技術を利用した機器、すなわち計量魚群探知機とビデオカメラ類を搭載した探査機の特徴は、現場での資源の分布状態を詳細に捉えられるところにあり、最近では調査対象生物の大きさを推定する機能をも備えつつある。またこれらの機器は、調査船が航走あるいは曳航しながら運用できることから、広範囲を比較的短時間で調査するのに適している。こうした長所が認められ、これらの機器は資源調査用として漁業調査船に装備され、運用実績も上がってきている。

 調査機器類の普及につれて、収集した情報を系統立てて分析するため、地理情報システム(GIS)を導入する事例が増えている。
 また、開発された資源調査のための技術は、漁業者が効率よく操業するための新しい探魚機器等にも有効に活用され始めている。
 本部会では、このような背景をもとに、これらの機器やシステムの有効活用をさらに一層進めるため、9件の話題提供をもとに利用者と開発者、さらにこれらを支える行政の間で情報を交換した。

2.当該専門分野の研究の推進方向に関すること。
 上記の話題提供及び総合討論の結果、以下の意見を集約した。
@国の技術開発予算と政策評価、目標値、受託者への特許帰属による産業の活性化
A研究開発予算の獲得と開発した調査機器の技術の民生機器への応用
B計量魚探等の調査機器を使いこなすには関係機関の技術的なサポートが重要
C透明度が悪く深度の浅い湖沼の底質の判別等、音響技術による新しいニーズへの対応
D地理情報システムを活用した資源調査データ解析の高度化や低コスト化

 このうち、@は行政に係る事項であるが研究との連携を緊密化することで、研究開発の活性化に資することが期待される。AとDは中期計画にて水産情報工学部が取り組む個々の研究課題の中で、Bは中央水産研究所と当所が連携して開催している蒼鷹丸を使用した計量魚群探知機の研修の中で位置付けられる。また、Cは内水面水試からの新たな研究ニーズである。これらの解決すべき問題点や新たな研究ニーズに対して、関係者間で共通認識が得られたことは有意義であった。

3.産・官・学の連携に必要な事項について
 資源調査における新たなニーズに対応するための音響・光学的計測技術の開発は開発リスクを伴うことから、研究機関、民間企業や大学などの連携・協力が不可欠である。そのためには、当所が中核機関となって具体的問題解決のための機会を設定するなどその仕組みづくりが必要である。また、開発機器のユーザーである水試や水研等に対して研修会等の機会を設けて、技術の普及につとめることが重要である。
 
その後の処理等

 
 今回の部会における検討結果を報告書としてとりまとめ,年度内に発行する予定である。