平成14年度 漁業技術部会
 
1.日 時:平成15年1月15日(水) 10:00〜17:00
 
2.場 所:水産工学研究所 研究管理棟 会議室
(〒314−0421 茨城県鹿島郡波崎町海老台)
 
3.部会テーマ:明日の漁船像を考える
 
4.開催趣旨
平成13年に水産物の安定供給の確保,水産業の健全な発展を基本理念とした水産基本法が制定され,平成14年に水産基本法の施策のための中期的指針として水産基本計画が策定された。このような状況を背景に,漁船の分野では資源管理と漁業生産性を両立する漁船像を明らかにすることが重要な課題になっている。しかし,この問題の多様性と困難さのため,その具体像は必ずしも明確ではない。
さらに平成8年に国連海洋法条約が締結され,200海里漁業体制が定着した。その後,漁業資源の減少,魚価の低迷,水産物輸入量の増大,漁船漁業従事者の高齢化,減船の増加,代船建造量の激減,漁船漁業経営体の債務超過などの由々しき問題が次々に台頭している。このような漁船のあり方を決定する社会的要因の急変が将来像の予測をさらに難しくしている。また,平成14年に規制緩和推進により漁船船型に影響を及ぼしてきた動力漁船の性能基準の一部が改正され,従来よりも自由に設計できる技術環境が作られたとされている。しかし,この改正が漁船のあり方にどのように影響していくのかは必ずしも明確でない。
他方,以上の混沌ともいえる状況において,資源管理と経営改善を主要なコンセプトとした漁船建造の先駆的な模索が試みられつつある事実を見いだすこともできる。また,北欧の先進的な漁業の実態が知られつつあり,船型と性能の比較研究も開始されている。さらに,従来の概念にとらわれない試設計も行われつつある。このような試みによって我が国の漁船は北欧漁船とはかけ離れた特殊性の強い,漁業生産性の高い漁船として成立していない状況にあることも次第に明らかになってきている。現時点では明日の漁船像の具体化は難しい。しかし,その追求のための知見を求めることは重要である。そこで,明日の漁船像を考えるため,この分野の専門家に最新の情報,具体例のガイダンスを願い,関係者による討論の場を設ける。また,この場を通じて産官学の研究の連携を模索したい。
 
5.議事次第
10:00-10:05 開会挨拶 山本 正昭(水産工学研究所長)
10:05-10:10 趣旨説明 武内 智行(漁業生産工学部長)
10:10-10:50 水産基本計画と漁船漁業技術について 本田 直久(水産庁)
10:50-11:40 最近の北欧漁業について 木下 弘実(ニチモウ株式会社)
11:40-12:10
 
底曳漁船の日本型と北欧型との船型と装備の比較 長谷川勝男(漁業生産工学部)
 
13:00-13:30
 
底曳漁船の日本型と北欧型との船体性能の比較 馬   寧(漁業生産工学部)
 
13:30-14:10 北海道沖合底曳漁船の計画について 板倉 信明(北海道大学水産学部)
14:10-14:50
 
二そう曳き60トン型沖合底曳漁船の計画とその特徴 岩本 才次(九州大学工学部)
 
15:05-15:45 85トン型底曳漁船の船型改良について 玉島 正裕(流体テクノ有限会社)
15:45-16:25 100トン型底曳漁船の試設計について 渡辺 豊徳(渡辺船舶技術士事務所)
16:25-16:55 総合考察 川島 敏彦(漁業生産工学部)
16:55-17:00 閉会挨拶 武内 智行(漁業生産工学部長)