平成16年度研究所機関評価会議概要報告
 
                                             水産工学研究所
 
1 会議の概要

   開催日時:平成17年3月11日(金) 13:30−17:40
   開催場所:水産工学研究所会議室
   出 席 者 :
    (外部委員:順不同、敬称略)
     天下井 清(北海道大学大学院水産科学研究科 教授)
     三村 信男(茨城大学広域水研環境科学教育研究センター 教授)
     赤塚 誠一(千葉県水産研究センター センター長)
    (水産工学研究所)
     山越 康行(所長)
     水野 恵介(企画連絡室長)
     中村 義治(水産土木工学部長)
     小田 健一(漁業生産工学部長)

     宮野鼻洋一(水産情報工学部長)
     山田 友之(総務課長)
        (事務局)大浦 哲也(情報係長) 
  
 
2 研究課題の評価結果(年度計画第2の1の小課題のS・A・B・Cの個数を記載)
 
     S   2個
     A  22個
     B   2個
     C   0個
 

3 15年度指摘事項等のフォローアップ状況

(1)外部委員の主な意見
項目 外部評価委員の主な意見 対応方針と実施状況
評価・点検の実施について




 
・効率化のもと人員は削減され成果が求められる。また、研究者の業績評価制度のもと、博士号取得や論文作成が優先されたり、先端技術志向が強くなり、現場対応型研究が減ることが懸念される。
 
・現場あるいは地域の問題についても限られた研究員で対応せざるを得ない状況にあるが、現在、農林水産技術高度化事業、HORS(港湾空港技研、茨城水試)など現場の問題についても取り組んでいる。なお、研究者の業績評価については、必要に応じて改善を図ることになっている。
調査・研究の連携と協力の推進について



 
・水産試験場等からの推進会議(ブロック別・専門分野別)への研究ニーズ・要望に対して、例えば、地域に特定な研究課題の解決のため、水研センターとして必要に応じて海区及び専門水研研究者が異動・結集して研究できる体制ができないのか。 ・現状では、研究員の異動による研究体制の組織化の仕組みはない。しかしながら、今年度から、地域の問題解決に向けて都道府県試験研究機関と連携して研究課題の設定や予算要求の検討などを協議する仕組み(推進特別部会)とした。
 
試験及び研究、調査並びに技術の開発について




 
・漁船漁業では、まず漁船と漁具を関連付けた漁業生産システムとしての研究、安全性あるいは採算性の研究、さらには漁港施設あるいは労働環境などとの関連も考慮した総合的な研究が必要と考えている。それらの研究ができる環境にある水産工学研究所に対する期待は大きい。 ・15年度に実施した漁船と漁具の総合的計画手法の開発(所内プロ研)の結果等を踏まえ、ご指摘の内容については次期の中期計画の課題の中に盛り込むことを検討している。


 
専門分野を活かした社会貢献等について




 
・研究者数に対し要請される課題(特に事業関係)が多く、要請に如何に応えるのか工夫が必要である。推進会議や部会などを活用し、それらの研究支援グループとの連携強化あるいは業務の一部をアウトソーシングするなど、研究者の負担軽減と研究の効率化を目指してはどうか。 ・水産庁委託事業などについては、既に業務の一部をアウトソーシングするなど、効率的な業務の推進に努めている。また、本年度から推進会議を特別部会に改組し、都道府県試験研究機関との一層の連携協力に努めている。なお、ポスドク等の雇用条件も一部緩和され、今後、ポスドク等の雇用を検討したい。
成果の公表、普及、利活用の促進について



 
・研究成果は、漁業者や国民が納得できかつ現場に普及できる成果であることが必要と考える。そのため、研究機関としては、これまでと比較してどこまで研究が進んだのかを明確にすること、その研究の出口をわかりやすく示すことが必要不可欠である。 ・今後とも、科学技術の発展に資する学会等への研究成果の公表に努める。また、一般公開、成果のPR版の作成(ホームページでの公開)など、国民に分かりやすい形の成果の公表あるいは当所の研究活動の広報に努めている。
 
 
 (2)改善方策
事項 改善を要する問題点等 すでにとった措置 今後検討するもの

・特になし

 

4 16年度指摘事項等 
 
(1)外部評価委員の主な意見と対応方針等
事項 外部評価委員の主な意見 対応方針と実施状況
調査研究の連携と協力の推進について







 
・少ないスタッフで多岐にわたる多くの課題に対応し成果を挙げていることは高く評価する。次期中期計画に向けて研究の方向性を定めているが、今後は、一研究分野で解決できる問題は少なく、生物と工学あるいは沿岸域と陸域など多くの専門家が連携して問題の解決に当たる課題が多い。したがって、研究あるいは研究者のネットワークの構築と研究連携が益々重要となる。 ・これまでも関係機関との研究連携などのネットワーク構築に努力してきた。今後とも、推進特別部会における新たな仕組みを活用しつつ、幅広い研究あるいは研究者のネットワークの構築と一層の研究連携に努めたい。




 



 
・都道府県試験研究機関には、地域現場の課題解決に向けた一層の対応が求められている。その中には、水産工学的な知見を必要とする課題も多い。ブロック推進会議に要望を挙げているが、それらの情報の取扱はどのようになっているのか。都道府県試験研究機関から見ると、水産工学研究所の研究や活動内容が見えにくい。 ・各ブロック推進会議に挙げられた都道府県試験研究機関の情報や要請は、研究分野の分類等を付したデータベースとして水研センター全体として共有している。今後、それら提供情報を精査し、都道府県試験研究機関の要望等の的確な把握、並びに各ブロック推進会議への出席など関連水研との情報交換を密にして、都道府県試験研究機関との連携協力に努めたい。 











 
・推進会議の仕組みが変わったことは評価する。今後、実質的な連携を期待したい。また、都道府県試験研究機関の抱える課題の解決のため、関係機関の連携や予算獲得に向けて水研センターに企画調整機能の役割を期待する。




 
・本年度から従来の推進会議を改組して、都道府県試験研究機関との一層の連携協力、特に課題解決のための課題設定並びに予算化などを重点的に検討する体制とした。本年度の当所の推進特別部会においては、関係する都道府県試験研究機関の研究担当者と「二枚貝漁場研究における水産工学的アプローチ」を議題として、研究や連携の方向性について討議した。今後とも、関係ブロック推進会議とも連携を図りつつ、当所としては水産工学研究分野の企画
調整機能の役割を果たしたい。
試験及び研究、調査並びに技術の開発について






 
・研究の新たな方向として「ハード面からソフト・計画論へ」を打ち出していることは評価できる。今後、「安心・安全」と「環境・生態系保全」の概念が衝突する場合も十分予想され(例えば最近のような大津波対策としての漁港・漁場施設の安全と、自然海岸の環境・生態系保全など)、計画論は重要になってくる。次期研究計画に取り入れて良く研究されたい。 ・次期中期計画並びに具体的な課題の策定過程で十分考慮したい。







 









 
・漁業経営の観点から、今後、沿岸漁業と沖合漁業がそれぞれの技術を使ってどのように資源を共有するのかが重要と考えている。特に、漁船隻数の9割以上を占める小型沿岸漁船のあり方を研究することが重要となろう。また、漁船に一次加工の機能を考慮するなど、漁獲物の付加価値向上に係わる技術開発も今後の課題のひとつであろう。 ・次期中期計画並びに具体的な課題の策定過程で十分考慮したい。






 
 
(2) 評価結果の反映方法(すでにとられた措置と今後予定している措置に分けて記載)
事項 改善を要する問題点等 すでにとった措置 今後検討するもの
 
・特になし 
 
※B又はC評価となったものを中心に(B、C以外でも)、自ら改善すべき考える事項について記載。
 

5 その他(所感、問題点等)


 ・ 次期の中期計画の研究課題の設定に当たっては、当会議で外部委員から指摘のあった事項並びに
 水産工学関係試験研究推進特別部会で構成員から要望のあった事項等を十分考慮する必要がある。

 ・ 当所の業務及び研究活動等の広報並びに研究ニーズの把握のため、特に当該研究分野と関連の
 深いブロック推進会議等への出席及びホームページの充実・活用などの工夫が必要である。